ノンタイトル

■大変な1ヶ月?
長年、スニーカーを買い続けていますが…この5月のリリースラッシュは、これまでに経験したことがないほどのものでした。
ナイキの決算月というのもあると思いますが、コロナによる生産スケジュールのズレをはじめ様々な要素が加わって、リストックも含め5月にギュッと詰め込まれた印象の1ヶ月。スニーカーを追いかけるのではなく、次から次へと発売されるスニーカーに追いかけられている様な錯覚?に陥っていたのでは?(苦笑)。

その反動という訳なのかは明確ではありませんが、例年だと6月から7月の中旬頃までは少し緩やかな感じになります。
但し今年はAIR FORCE 1 の40周年、そしてナイキの設立50周年の年です。
また、ニューバランスの復権は著しく…アディダスといえばADIMATICの新色が年内に複数登場します。
更に、秋にはAIR JORDAN 1 85の白赤黒(シカゴカラー)やネイビーグレーのTERMINATORの発売が控えているので、なかなか落ち着かせてはもらえないかも知れませんね。

■ない(数が少ない)物しか売れない
数が少なくて産業として成り立つのか?
成り立たせるために、ない(数が少ない)物のバリエーションを増やす。
世の中に、ない(数が少ない)物が溢れかえる。
こう考えると変な話です。

レアなモデルがたくさんあるのが今のスニーカーシーンです。供給量を減らし販路を限定し続け、それを繰り返すことで、ない(数が少ない)物=レア物至上主義のマーケットを完成させたナイキ。
5月に発売のTravsのAIR MAX 1とAIR TRAINER 1、発売が6月に延期となったA Ma ManiereのAIR JORDAN 2も意図的に数を絞り、ない(数が少ない)物として演出し雰囲気を作り出す。
これにより、リセール市場が活性化。そして、フェイク業者が狂喜乱舞する。
特にA Ma ManiereのAIR JORDAN 2は法外なリセール価格になると予想されています。

では、TravisもA Ma Maniereも数を絞らず、郊外の量販店を含め何処にでも豊富な在庫があったとしたら…。特別なものとしての雰囲気がなくなり、ある(数が多い)ものとして売れなくなる?
ならば、評価されているデザイン性やカッコよさは何処に?

スニーカーそのものの機能性は購買の選択肢としては下位に位置する時代。
デザイン性といっても、潤沢な供給量があるもは評価されず…同じデザインでも、ない(数が少ない)ものはカッコいいと絶賛される。
なので、私は巷のカッコいいは半分くらいしか信用していません(笑)。

かつてのナイキは供給量を小手先で操作せずとも、インラインモデルの中から大きく化けるプロダクトがしばしば誕生していました。それらがヘリテイジモデルとして復刻され、数を制限することで煽り延命を図っている。

皆がカッコいいと言うとそうなのか?と思う。
リセール価格が定価の数倍になっているものは、好奇の目で見てしまい…その金額によってカラーリングやデザインも過剰評価し、素晴らしいものとして認識してしまう。
私にもそういうところがないわけではありません。
でも、その雰囲気に飲み込まれたくない一心で本当にそんなに素晴らしいのか?第三者の声に左右されていないか?と自分自身を疑う様にしています。

最近、驚いたことのひとつは1次流通より高いリセール価格を適正価格だと言い放つ人がいたことです。
この風潮…何かが狂ってます。

■情報を発信する際に課している心得
atmosさんでコラムを書かせていただく様になってから丸2年となり、次回から3年目になります。
お話をいただいたのは最初の緊急事態宣言が出る数日前だったと記憶しています。

一番大切なのは今とそして未来です。過去のスニーカー史は二の次で構わないと思っています。ですが、過去を伝えるなら過大評価や過小評価なく事実を可能な限りありのまま伝えたい。それが将来を担う若きスニーカーヘッズの皆さんへの誠意だと思っています。
そして、私だけでなくYouTubeをはじめとするSNSで発信をする全ての方に願いたい。
自分達が発信する内容を参考にし、それを基礎としてこれからスニーカーライフを送る新たなユーザーがたくさんいることを。その責任は軽くはありません。
そして25年、スニーカー情報を発信し続けて来た私自身にも課せられた責務だと認識しています。

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