Four stories
TEXT by Koji UEDA ( Alternate Sneakers )
◼値上げがもたらす症候群
2月3日発売のAIR JORDAN 1 RETRO HIGH OG 白黒はSNKRSで見事なまでのサイズリストック。それが影響してか店頭抽選の並びは何処も数名程度。これまでの様にオンラインとフィジカルでそれぞれ買って、1足は履く用、もう1足は保存用という訳には価格的に難しくなっているという現実もあるのでしょうね。
2月17日に発売が予定されているAIR JORDAN 4 RETRO “Bred Reimagined”を狙っているという人はそこそこ多そうですが…画像の3点に加え、毎年2月に発売されるのが恒例になっている85シリーズ、AIR JORDAN 2 RETROやWMNS AIR JORDAN 5を全て購入すると税込み192,660円。平均すると1足あたり28,380円になります。
多くの方が高くて買えないと仰っていますが、買えないのではなく…30,000円前後がベースの価格帯になると一瞬躊躇して冷静になり、その金額を投じるに値するのか?と考える様になって買い控えに傾くという心理変化を招きます。そして、これまでは良くも悪くも定価もしくはそれ以上の価格で2次流通にまわし「処分」出来たものが出来なくなったというのも買い控えに大きく影響している…というのが現実なのではと思います。
スニーカーの高価格化は社会情勢から鑑みて致し方なく、時間はかかるでしょうがそういうものだと私達は馴れて行くとは思いますが…近い将来、スニーカーを好きになるであろう次世代の新規ユーザーは可哀想だなぁと思うと同時に、新たに参入するスニーカー人口増加の妨げにならないとも限りません。
◼AVIREX×NITRO MICROPHONE UNDERGROUND POP UP STORE Opening Reception Party
「AVIREX×NITRO MICROPHONE UNDERGROUND(以下NITRO)」コラボレーション第2弾のリリースを記念し、FIVE STAR MEGASTORE 1F店舗にて開催されたPOP UP STORE Opening Reception Partyにお邪魔させていただいて来ました。
ゲストはXBS(NITRO)さん、DABO(NITRO)さん、SHOW_Schottさんの御三方。
私がNITROのメンバーの方々と初めて遭遇したのは2002年の事。ライブハウス等ではなく、大阪アメリカ村の洋食店「はり重」にたまたま居合わせたという偶然。もちろん、強面に見える方々なので話しかけるなんてもってのほか(苦笑)。そそくさと先に店を出ようとした際、メンバーの方々の視線が私の足元に集中し緊張と戦慄(笑)を覚えたのは今も鮮明に記憶しています。
後日になって知ったのですが遭遇した日の前夜、アメリカ村でライブを開催されていた様で…NITROのメンバーの方々は移動前に「はり重」とオムライスが有名な「北極星」の二手に分かれて昼食をとられていたとの事でした。
因みに何故、私の足元が凝視されたのかというと…その日、発売前のAIR FORCE 2 ESCAPEカラーを履いていたからに違いありません。
今回お邪魔したFIVESTAR(ファイブスター)さんは30年以上の歴史を誇る、ナイキとの関わりも深い大阪南堀江にあるセレクトショップ。オーナーの林原さんは元atmos初代店長の今井さんとも親交のある関西ストリートファッションのレジェンドです。
◼2024年の1足目
今年になって私が最初に購入したスニーカーはon CloudmonsterのAll Blackになります。
試し履きした率直な感想はというと…クッショニングに定評のあるHOKA BONDI 7やUGGのCA805、CA805 V2を高見さんのご厚意で履かせていただいていたので…それぞれ言葉では表現出来ない特徴はあるものの、経験をした事のない履き心地という感じはありませんでした(あくまで個人の感想です)。
但し評判通り足が前に出る感じに加え、沈み込む様な柔らかさと反発性には評判以上の確かなものがあります。
私の場合、ランニング用というよりは普段履きとしての購入なので、CloudTec® の容量が違うCloudsurferやCloud 5あたりも今後チャレンジしてみたいですね。
onの初購入に際し、出来れば既存のものとは違う私なりの説明をしたかったのですが、onについての知識や情報に未だ疎く…適当な事は書けないという思いから今回は断念。
次に上京した際に公式フラッグシップストアであるon Tokyoに行って、いろいろヒアリングしてみたいなと思います。
補足になりますが…履き心地おはクッショニングだけでなく、サポート性や屈曲性、通気性や安定性など複数の機能要素が総合的に合わさって得られるものなので、きちんと伝えようとすると実はなかなか難しいんです。しかも個々人の好みもあるので…やはり店頭で試し履きして自ら確かめるのが最善の方法なのです。
◼スニーカーファンブック 10周年
私の知る限り、10年以上に渡り定期的に刊行されているスニーカーブックは2024年春号で20周年となる「SHOES MASTER」と「スニーカーファンブック」だけではないでしょうか。
私とスニーカーファンブックとの出会いはというと…当時、株式会社スタージョイナスさんでUNDEFEATEDを担当されていた大城谷氏より「上田さんはNIKE DUNKのVNTGシリーズを一通り持っていますよね?今度出るスニーカームック本にリースして欲しいんですが…」と連絡をいただいたのが2013年12月もしくは2014年の1月だったか、とにかく寒い時期だった事だけは覚えています。その送り先の宛名がAIR MAXシリーズに世界で初めて年式を付けた雑誌「Boon」のライターだった岸氏さんという、これもまた世間というかスニーカー業界は狭いなぁという巡り合わせ。
更にスニーカーファンブックで創刊よりチーフエディタを務める佐藤裕志さんと私は30年近い旧知の間柄。佐藤さんが神奈川県平塚市でハンドキャリーというスニーカーの並行輸入店を営まれてた頃からのお付き合いとなります。
元々、佐藤さんはスニーカーやNBA、そして玩具等への造詣が深く…2000年前後にはカルチャー雑誌「Quant」でライターとして連載を持たれていた時期もあります。
スニーカーが盛り上がりを見せた2017年あたりから、スニーカーの関連本が多数世に出ています。ですが残念ながら間違いや勘違い、また何処かから引用しただけのスニーカーを知らない人、或いは知識の浅い人が編集をしているだろうなというものが少なくありません。
スニーカーに興味を持ち始めた初心者の方には通用しても、ハイプスニーカーを並べただけで適当な解説を加えた程度の内容では…なまじスニーカーシーンの動向を見続けて来たオールドファンにとって物足りなさを感じずにはいられないはずです。
だからこそ余計に思うのですが、数十年に渡る時をかけて積み重ねた経験と見識を蓄積させた佐藤さんの手による双葉社から出ているスニーカーファンブックシリーズは最も信頼度の高いスニーカー本の中のひとつだと自信を持って言う事が出来ます。
出版社は違いますが2022年12月リリースのAlternate Sneakers 25周年を記念した「SNEAKERS CULTURE ARCHIVES」も佐藤さんとデザイナーの塩田氏というスニーカーファンブックチームの制作だったので全てを安心してお任せすることが出来たのです。
最後に佐藤さんと双葉社の旭氏による11年目となる次号を楽しみにしつつ、最新号に目を通したいと思います。