Sneakers Boom & Recession

TEXT by Koji UEDA ( Alternate Sneakers )

スニーカーの冬の時代は未だ来ていない

確かにSNKRSアプリで扱われる様なナイキの厳選されたスニーカーにかつての勢いがありません。そういう意味ではナイキブームにひとつの区切りがついたと捉える事が出来るかも知れません。
そもそもブームとは、ある物が一時的に異常な人気の対象になることを指すので…これまで異常だった状況が正常になりつつあるのだと思えば然して驚く様なことではありません。流行には周期があって必ず浮き沈みがあるのですから。

さてさて…では、スニーカーは全く売れなくなっているのか?というと実はそうではないんです。
東京や大阪のスニーカーショップではインバウンド需要でコロナ禍以前を凌ぐ売上げになっているといいます。更にそれ以外のエリアでも現状を維持しているとの事。
勢いがなくなったのは、これまで発売と同時にに完売となり…2次流通で定価以上、中には数倍の価格でリセールされていたであろうハイプという形容を付けられるプロダクトです。

近頃は何でも白か黒かで決めつけてしまう風潮があります。例えがおかしいかも知れませんが…ブーム中が白、ブーム終了が黒とするならば今は白なのでしょう?黒なのでしょうか?
現時点では明らかに最盛期からは下降線を辿っていますが、過去の最も酷い時期から比べると今は未だ白から黒への過渡期のグレー(灰)の時期なのです。ポジティブに考えると真っ黒になる前に白へと転じる事もなくはありません。
どんな事でも当てはまる事ですが、ひとつの事例だけで決めつけず、点ではなく線で捉えなければ見誤ってしまいます。

そうは言うものの、残念ながら下降線を辿りつつあるのは動かせない事実です。
プロパーで売れるものが少なくなり、メーカー直販は短期間の内に限定的なセールを繰り返す。それに乗じて値下がりを待つのは消費者として間違いではありません。間違いではありませんが、待とうとした商品の全てを値下がり後に購入するのか?というと、値下がっても結局買わないという事の方が多くないだすか?(笑)。

私はユーザーの立場であり消費者の1人ですが、過去のブーム終焉後を目の当たりにして来たので、偏った商品だけでなく満遍なく定価でスニーカーが売れ、1次流通店が一定の利益を得る状況を維持しないと最終的に我々ユーザーが楽しめる環境ではなくなってしまう事を知っています。
楽しくなくなったらスニーカーから離れる人が増えます。性懲りもなくスニーカーにしがみついて来た者としては、それは残念で寂しい。やはり自分と同じ様に流行の浮き沈みに関係なく、スニーカーを愛し追い続ける人が多い方がいいのです。


◼2023年7月

7月…それなりに注目度の高いスニーカーが何点かありました。
例えば7月2日にNIKEアプリで発売されたCHICAGO SPLIT(白黒赤を何でもシカゴと呼ぶのは好ましくないですが)と呼ばれるNIKE DUNK LOW RETRO PRMがありました。アプリが反応しない等のトラブルはあったものの一旦は完売。確か1日遅れてABC GRAND STAGEで抽選受付けが始まり、現在(7月末時点)28.0cm以下は通常販売されています。また、8月1日にはNIKEアプリでリストック発売されました。

少し日を空けて22日にはAIR JORDAN 1 RETRO HIGH OG “University Blue” がリリース。2018年のBRED TOEによって人気となったカラーブロックで登場という事もあり前評判も上々。

この日、たまたま前日に所用があって上京していたので、東京原宿で店頭抽選に臨みました。事前の下馬評も悪くなく、しかも土曜日。今回から急激な値上げというネガティブ要素を省けば、それなりの並び人数になるのでは?と予測していましたが、蓋を開けてみると私が並んだatmos BLUEは40人、すぐ近くのTOKYO23は80人弱。LUCUA大阪は64人、心斎橋は約50人と予想を下回る人数。やはり、26,950円という価格がネックになったのか。

26日にはこれまた価格が上がったWMNS AIR JORDAN 1 RETRO LOW OGの “UC to Chi” が発売。これも2020年に同配色のハイカットが絶大な人気だったので、それなりの需要があるかと思いきや…意外にそれ程でもありませんでした。

SNKRSアプリでの抽選後に即フルサイズがリストックされ、ある程度は行き届いたのかも知れません。完売すると少ない、売れ残っていると多いと感じてしまいますが…それは目に見える範囲のみの情報なので、実際の総足数はどうだったのかは分かりません。因みにこの日の心斎橋店ば7人、LUCUA大阪は4人の並びで全員当選だったそうです。

28日は”UC to Chi” より人気が高いだろうと予想していたAIR JORDAN 1 RETRO HIGH OG “Black Toe”の発売日。
平日ながらオリジナルカラーなので、AIR JORDAN 1 RETRO HIGH OG “University Blue” を凌ぐ需要があるはず。ところがです。当日の朝に並んだのは、TOKYO23が40人ほど、atmos BLUEは1桁。心斎橋は30人余り、LUCUA大阪は26人といずれもAIR JORDAN 1 RETRO HIGH OG “University Blue”を大きく下回りました。

ドレスコードのラインナップも影響したとは思いますが、NIKE DUNKと違ってAIR JORDAN 1 のLOWはHIGHほど人気がない。それに”UC to Chi”同様にSNKRSアプリ抽選での当選者が多く、また数10分後にはリストックがあった事を考慮すると店頭抽選に赴くのをやめた方もいたのでしょう。
そして、同じ7月28日発売にポケモンカードゲーム拡張パック「黒炎の支配者」があったのが最大の理由かも知れません。
転売もしくは転売を念頭にスニーカーを購入する人達は1足20,900円のAIR JORDAN 1 RETRO LOW OGよりもリスクヘッジを考慮して利益率の高い5枚入り1袋180円、BOXで4,200円のポケモンカードを選択したのでしょうね。
という事でスニーカーとポケモンカードについて?は次回に…。

余談ですが7月に大阪であったスニーカーイベントについてメーカーの方と以下の様なやり取りがありました。
「上田さんは参加するの?」
「いえ、行かないですよ」
「ですよね」
なんか理解してもらえてるんだと少し嬉しかった。

それと、8月下旬には税込み29,700円という価格のAIR JORDAN 1 HIGHが予定されています。コレボレーションとはいえ、なかなかのプライスです。

Special Thanks : @akitako2495 @ykekrk

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