
About fake sneakers – 02 – フェイクの現状
1990年代後半から2000年代のはじめ頃のフェイクといえば、パッと見ただけでそれと分かる様なクオリティのものが大半でしたが…昨今はそうではありません。
もちろん、よく観察すれば本物ではないと判断出来るレベルのものもありますが…本物と並べて見比べてみても、その違いが分からないものが数多く存在します。
現在のフェイク品のクオリティには大きく分けて5段階あり、フェイク業界?ではクオリティの高い順に下記の様に呼称されているそうです。
①オリジナル
②ベスト
③グッド
④レギュラー
⑤AAA
現在、海外向けとしてクオリティの高い①〜③がメインで流通し、見るからにフェイクだと見て取れるレベルの④や⑤については中国国内で主に流通しています。
※Instagramの広告で時々表示される正規価格前後で販売されているフェイクは③〜⑤のものだと思われます。
※中国でクオリティの高いフェイクスニーカーを購入する日本人も少なくないそうです。
驚くべきは①のオリジナルと呼ばれているクオリティのものです。
アッパーやソール類の素材、シューレース、箱、包紙(中紙)、タグや接着剤に至るまで、正規工場と同じ仕入れ先からフェイク工場も調達しているらしいのです。
更にボックスラベル裏のICチップやボックス内部の数字スタンプまで精巧に偽造されたものが使用されています。
唯一違うのはミッドソール内部に組み込まれているエアユニットで、限りなく本物に近い物を使用してますが正規品と比べるとエア圧が若干低い様です。
ただ、ズームエアユニットに関しては本物とほぼ変わらないクオリティに仕上がっているというから厄介です。
こうなると、ビジブルエアならまだしもミッドソールに内蔵されているエアバッグを確認するには、切断するか破壊するしか確かめようがありません。
更にエアユニットがもともと内蔵されていないNIKE DUNKの様なノンエアモデルについては全て本物と同じ、もしくは同等の素材で作られている可能性が非常に高いのです。
かつてのフェイクは切り返しの角度や全体のフォルム等を本物と比べて見ると、その微妙な違いが分かったりしましたが…今やハイスペックのスキャナや3Dプリンタがお金さえ出せば容易に手に入る時代です。故にラスト(木型)なんて簡単に複製できてしまうので、最高クオリティのフェイクは人の目で見分けがつくレベルでは最早ないと思っておいた方がいいです。
そして、動画のフェイク工場はナイキの正規工場に勤めていた人が経営しているそうです。更に製品を作る工員の中にもナイキの正規工場で働いていた人が複数いるそうです。なので縫製の技術も正規工場と同等もしくは熟練されてそれ以上なのかも知れません。
付け加えると、中国国内には100を軽く超えるフェイク工場が存在しています。



■フェイクについて思う事
Instagramでフェイク画像を公開して日々、注意喚起をされている @bootlegkillerjp さんはよく真贋判定を依頼されるそうですが…クローンが如く精巧に作られたフェイク品が存在する限り正確な判定は困難で、本物をフェイク、フェイクを本物と判断してしまう恐れがあり、むやみに依頼を受けるのは無責任になり兼ねないという理由で一切真贋判定の依頼はお断りされており、私もそれに賛同しています。
聞けば真贋判定を請け負うサイトが存在するそうですが…最上級クオリティのフェイク品を100%の確率で偽物だと見破るのは至難の技というか、今後は益々不可能に近くなると思われます。

正規品と全く同じ。もしくは同等の素材で正規品よりも優れた製造技術で作られているのならフェイクでもいいじゃないか!と考える方が…もしかすると現れるかも知れないですが、それは違います。
スニーカーが本当に好きなば、例えばナイキというブランドが好きならば…フェイクをフェイクと分かって買ったり履いたりするという行為はナイキというブランドを冒涜することに繋がります。
確かに何を買って何を履こうが個々人の自由ですし、第三者からとやかく言われる筋合いはないでしょう。
でも、どんなに人気があってプレミアがついているモデルでも、それを模倣したフェイクであるならば、所詮ニセモノに過ぎません。
そんなものを履くくらいなら、ノンブランドのスニーカーを履くか、極論を言うと裸足の方がマシだと個人的には強く思っています。

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