NIKE DUNK Present, past and future -2-

NIKE SB DUNKの人気と並行し、昨年12月に発売されたNIKE DUNK LOW VIOTECH、NIKE DUNK LOW×OFF-WHITE以降…かつてのCO.JPモデルやカレッジカラーの復刻、WMNS NIKE DUNK LOW DISRUPT、NIKE DUNK HIGH SLAM JAM等が立て続けにリリースされる中、9月にSPARTAN GREENと共に登場したのがNIKE DUNKを代表するこの紺黄(ミシガンカラー)です。
NIKE DUNK HIGH 紺黄(ミシガン)は1998年の初復刻以降、私が把握している限りでは今回で6度目の復刻となります(2015年12月に発売されたNIKE DUNK LUX NIKELAB×SACAIはスリッポンタイプのバリエーションモデルなので除いています)。

■2020年発売
NIKE DUNK HI SP

今回、復刻されたNIKE DUNK HI SP 紺黄(ミシガン)は本明社長がTwitterで呟かれていた通りイエローの部分が薄い。具体的にはオリジナルや98年の初復刻モデルに比べて赤みが少なく、CMYKで言うとM(マゼンダ)のパーセンテージが少なく染められている様に見えます。
また、アッパーマテリアルについてもオリジナルの質感とは異なり、シュータンもナイロンメッシュではなく硬い感じのコットンメッシュが採用されていて…凡そ完全再現とは言い難いギミックになっています。

ただ、オリジナルが優れていて復刻が劣っているという訳ではありません。
復刻はオリジナルの存在があってこそ成立するものなので…その比較においてどうしてもオリジナルに引っ張られてしまうのは仕方のない事なのです。
AIR JORDAN 1 然り、AIR MAX 95 然り…如何にテクノロジーが向上しようともマニアにとってオリジナルは原点にして頂点なのです。

Photo by @shou_moooo

と言う事で(どういう事?w)年代を追って復刻モデルを振り返ってみましょう。

■1998年発売
NIKE DUNK HIGH LE

オリジナルは日本での展開がなかったので…国内で初めて正規発売された記念すべきプロダクトです。 
但し、ナイキジャパンのデリバリーより並行品が早く市場に出回った為、リテーラーからの強い要望をうけて急遽予定より早く出荷さるという事態を招きました(この頃は未だリテーラーが強かった?)。
アッパーの素材はシュリンクレザーが用いられオリジナルに近い雰囲気なのですが、ヒールタブがイエローとなっていてオリジナルとは異なるギミックに落胆したファンも少なくありませんでした。更に残念な事に付属のシューレースもイエローのみという…なんとも寸止め感(苦笑)が漂う初復刻モデルとして良くも悪くも印象に残る1足でした。

■2003年発売
NIKE DUNK HIGH

初復刻から4年の歳月を経てヨーロッパのフットロッカー流通限定でリリースされた1足。故に日本での正規展開はありませんでした。
特徴的なのはNIKE DUNK SBと同じホールド性を高めるためゴム製ガゼットがシュータン内側に取り付けられている所。理由はよく分かりません。きっと、NIKE DUNK SBが頻繁に展開され始めた頃なので、SBと同じ仕様にしてしまった?そうなってしまった?のではないかと個人的に思っています。
この2度目の復刻にはネイビーとイエローのシューレースが付属しているものの、ヒールタブは98年初復刻モデル同様…何故かイエローになっています。そして、オリジナルのナイロン製とは違いシュータンの素材がコットン系メッシュに仕様変更されています。

■2005年発売
NIKE DUNK HIGH PRO SB

NIKE DUNK誕生20周年を記念してオリジナルのカレッジカラーをNIKE SBカテゴリーで再現。ヒールタブはオリジナル以来初のネイビーに。また、オーバーレイは頑丈でデッキのグリップテープとの相性がいいスエードを使用。シュータンは2003年版同様、コットンメッシュ素材が使われています。

■2008年発売
NIKE DUNK HIGH QK (VNTG)

国内では全国7店舗のみで限定展開されました。
アッパーベースやオーバーレイには履きジワ、ミッドソールやシュ-タンには日焼けや経年変色、アウトソールにはデッドストックによく見られるブルームを。また、ステッチの「ほつれ」を意図的に再現するビンテージ加工が随所に施されています。
このビンテージ加工がファンの間では思いのほか不評で…ライナー部分に品番とサイズがプリントされていたりと、かなりオリジナルを意識した作りなっている分、加工せずに普通に出して欲しかったと嘆く声も少なくありませんでした。
尚、ビンテージ感を演出する為にオリジナルや前3作の復刻より薄いイエローにしたと見ていたのですが…このNIKE DUNK HIGH QK (VNTG)以降、それが継承される事になります。

■ 2016年発売
NIKE DUNK RETRO QS

VNTGシリーズから8年ぶり、しかもNIKE DUNKに初めてRETROの称号が冠されるとあって期待に胸を膨らませて発売日当日の朝に取扱店に向かった個人的にも思い出深い1足。
ただ、実物を見てシワシワなマテリアルに驚愕(苦笑)。レトロ感を表現する目的の素材選択なのか?それとも深く考えずに素材を決めたのか?その辺りはやはり不明です。

NIKE DUNKに限らずナイキはどうも意図的にオリジナルを完全に再現しない様にしている節があります。

現在の技術なら決して不可能ではないと思うのですが、コスト的な問題や日本人ほど緻密さに拘りがないアメリカ人の合理主義と、何よりユーザーを満足させてしまう事による先々のセールスの落込みを回避したいという目論見が完全復刻の妨げになっている様に思えてなりません。

まぁ、もしナイキが総力を結集して完璧な復刻バージョンを作ったとしても…ここが違うだの、あそこが違うのだのと難癖をつけるのがスニーカーファンの面倒くさいところなんですけどねぇ(笑)。

左:手前から 98年 03年 05年 | 右:奥から 08年 16年 20年

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