OFF-WHITEは永遠に

TEXT by Yuki Koike(VINYL Inc.)

「OFF-WHIITE(オフ-ホワイト)」のアイコンともいえる“レッドジップタイ”が、3月29日にアメリカで商標登録された。2018年7月に申請してから約4年越しでの商標獲得となった。出願当初「OFF-WHITE」は、18類(バッグや財布など)と25類(ウエアやキャップ、シューズなど)を指定して、ほぼ全てのアイテムでジップタイの商標を取ろうとしていたようだ。ただ、最終的には「赤いジップタイであること」「フットウエアに使用すること」「ジップタイをタンの部分のシューレースに取り付けること(一番上のシューホールの位置)」に出願範囲を限定したことで認められた。

そもそもジップタイは、アマゾンでも売られているケーブルの結束バンドに近い。このどこにでもある便利グッズを、ヴァージル・アブローがファッションデザインに落とし込んだ。世の中にありふれるジップタイが「単なるプロダクトデザインなのか」、もしくは「『OFF-WHITE』のアイテムとして識別できるシグネチャーデザインなのか」という点が論点だったそうだ。

ただ、最近の「OFF-WHITE」のジップタイは、赤じゃない場合が多いし、“THE 50”コレクションに至っては、50足中1足が“レッドジップタイ”(「45/50」が赤だけど厳密には色味が違うかも)くらいのラインアップなので、せめてカラーは限定しないで欲しかった。だけど、このありふれたものに独自の解釈で価値を与えたヴァージルのアイデアが、彼の死後もこんな風に認められるのは、個人的にもうれしい。これで粗悪なコピーの嵐から守られる。

4月8日には、「NIKE」×「OFF-WHITE」の“BLAZER LOW(ブレーザー ロー)”が発売される。インソールには、「OFF-WHITE」のSwimming Man Logo(スウィミングマンロゴ)のプリント。「OFF-WHITE」が2019年にロゴを変更した頃から使っているキャラクターだ。実はこのロゴ、「OFF-WHITE」の関係者ですら、男性か女性か定かではなく、泳いでいるのか溺れているのかさえも分からないらしい。

闘病生活については詳しく語られていないので分からないけれど、報道によればヴァージルは2年もがんを患っていた。ちょうどブランド名が「OFF-WHITE c/o VIRGIL ABLOH」から「OFF-WHITE」に変更された頃で、当然クリエイションの中にも「生と死」を感じていたはずだ。そんなヴァージルが残した新しい“BLAZER”は、本人の生前の希望に沿って、ヴァージルの妻、シャノン(Shannon)とNIKEのパートナーシップによって発売に至ったとのこと。ヴァージルが残したデザインが生き続ける――そんなことを考えながら、発売を楽しみにしている。

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