
広がる異変
TEXT by Koji UEDA ( Alternate Sneakers )
■Supreme AIR FORCE 1 LOW
AIR FORCE 1の定番中の定番であるホワイトとブラックのヒールサイドにSupremeのボックスロゴを配したAIR FORCE 1 LOWが発売され始めたのは2020年3月の事。年2回に分けられたシーズンのSS(Spring Summer)及びFW(Fall Winter)の立上げであるWeek1が発売された翌週にAIR FORCE 1 LOWが大量に販売され、以降隔週でリストックされるのが恒例行事の様になっています。
その為、発売日の朝には原宿、渋谷、代官山、大阪、名古屋、福岡の入店順抽選に多くの方が足を運び、また午前11時から開始されるオンライン販売には全国のSupremeファン、スニーカーファンがパソコンやスマホの画面に向かって緊張の時間を過ごします。
そして、2023SSの立上げ翌週も変わらぬ光景が繰り広げられるのだろうと…。そこに異変?が起こる事など考えもしていませんでした。


■2022FW & 2023SS
昨年9月、2022FW Week1の翌週にAIR FORCE 1が発売された日…入店順抽選に赴いた方の数は6店舗合わせて約6,000人。午前11時からのオンライン販売では開始から2分足らずでホワイトもブラックも完売表示になりました。それでも買いやすくなったという感想を述べる方が多くいたのは、以前の入店順抽選より訪れる人数が少なく、オンライン販売も当たり前の様に数秒でSOLD OUTになるのが常態化していたからです。
そして、半年後の今回。
2023SS Week1の翌週にあたる2月25日…入店順抽選に赴いた方の数は6店舗合わせて約3,000人。オンライン販売でホワイト及びブラック共に完売表示が出たのが11時9分。
入店順抽選参加者が以前より緩やかになったとされる2022FWからなんと半減。オンライン販売も終了まで7分延びています。
その翌々週(AIR FORCE 1は隔週でリストックされるので翌週の販売はありません)の3月12日はというと…入店順抽選に赴いた方の数は6店舗で約1,500人と前回(2月25日)から更に半減。オンライン販売に至っては午前11時13分過ぎまで完売にはなりませんでした。
オンラインの場合、通信環境や接続のタイミングでアクティビティインジケーターが出現し、ページの読み込みに時間がかかって決済画面まで辿り着けなかったという方も多くいたそうです。ですが、それを差し引いても購入確率が極端に上昇しているのは以前に比べてストック数が多かったというより、購入を試みた人の数が減ったからと見る方が理にかなっている様に思います。
購入しようとした人が減った理由は複数考えられます。
例えば…
①税込み12,650円だった価格が今シーズンより14,850円に再び値上げされたから(2020SS時は11,550円)。
②2020年以降丸3年間継続販売され…ある一定の人の手元に行き届いたから。
③価格が上がった事によりリセール価格との差がなくなり、そのため転売目的の人の参入が激減したから。
④ウィートやリークされた新色のバロックブラウン、また同じくリークされたNIKE SB DUNKを待つために買い控えをしたから…等々。
何れにしてもスニーカー人気のフェーズが変わり、それがSupremeのAIR FORCE 1にも影響しているのは誰の目から見ても明らかです。

新色のバロックブラウンやウィートが発売される時は再び競争率が高くなるとは思いますが…ホワイトとブラックのみの販売については回を重ねる度に並ぶ人、オンラインチャレンジをする人が減る傾向は今後も続くのでは?と思います。

今回、SNKRSや他の店頭抽選の状況と合わせて…現在のスニーカーシーンがどう変化しつつあるかを俯瞰で見るためのひとつの事例として、Supreme AIR FORCE 1の発売時状況を取り上げさせていただきました。
