
原宿 AIR MAX DAY Alternate Sneakers
TEXT by Koji UEDA ( Alternate Sneakers )
コロナ、地震、戦争と不穏な世界情勢ではありますが、三寒四温を経てどうやら春めいて来た今日この頃。このコラムが最初に届く頃は桜も見頃の時期でしょうか?
今回、テーマを
『原宿』
『AIR MAX DAY』
『Alternate Sneakers』
の3つに分けてお届けしたいと思います。
■原宿というテーマパーク
先日、本明さんが取材を受けたという日経MJの記事を読みながら頭に浮かんだのは私が転勤して東京で仕事をしていた頃のことです。

北青山3丁目のマクドナルドの右隣りのビルにオフィスがあって、表参道から明治神宮前にかけてレコード会社が数社あり、そこに仕事でよく出入りしていたので原宿付近は毎日の様に歩いていた馴染みのある街でした。
その頃は裏原宿という呼称は未だなく、竹下通りにはタレントショップや有名ミュージシャンがそのステージに立つことをステータスとしていたライブハウス「ルイード」が新宿から竹下通りの近くに移転。そして、最盛期が過ぎたとはいえ原宿を中心に青山、渋谷一帯にDCブランドショップが立ち並ぶファッションの聖地として今以上に華やかさが際立ったいました。

その後、バブル崩壊によって高級なDCブランドは急激に衰退。タレントショップも相次いで閉店となったものの、人々は原宿という街の名にファッションとサブカルチャーの匂いを感じ続けていました。
ブームが去ったとはいえ目抜き通りの物件は家賃が高く、いわゆる人通りの少ない故に家賃が安価な裏通りに後に本明さんが新聞の中で語られてるファッション界のカリスマ達が古着屋などを出店。それが裏原宿の起源となったのだと私は捉えています。

高級過ぎてかつてのDCブランドには手が出なかった次世代の若者が、少し背伸びをすれば買うことが出来る…安物ではなく、かといって法外な価格でもない自らのステータスを保ち向上させてくれる新たな潮流としてストリートブランドが1993年頃に台頭。同時にビンテージスニーカーブームを経てハイテクスニーカーブームが到来し、スニーカーもファッションのひとつとして確固たる地位を確立して行きます。
その波に乗って今や伝説となったチャプターが誕生し、後のそして現在のatmosへと繋がります。
1993年以降、2000年代にかけて記憶に残っているストリートブランドに
GOODENOUGH
A BATHING APE
UNDERCOVER
NOWHERE
HECTIC
REVOLVER
NEIGHBORHOOD
BOUNTY HUNTER
WTAPS
SWAGGER
NUMBER (N)INE
HYSTERIC GLAMOUR
等に加え海外から横乗り系スポーツを起源とする
STUSSY
SUPREME
があり、裏原宿ブームを牽引していました。
それぞれのブランドにはファンが存在し、裏原宿のショップで買い物をする。そこで手に入れた服やスニーカーや小物が最も映える場所が原宿という街そのものであり、それらを身につけて原宿界隈を闊歩することで完成されるのがストリートファッションスタイルでした。
それは、街全体がファッションの最前線として、まるでひとつのテーマパークの様な雰囲気を醸し出していた。本明さんの言う「なんかここに来たい」という意味はそこにあるのではないかと思います。

余談ですが、私が東京で仕事をしていたのは1989年7月から1993年1月までです。
打ち合わせの為にとあるタレントショップに向かうため竹下通りを歩いていたのですが、その頃の出立はスーツにネクタイ、靴はスニーカーではなく黒いビジネスシューズ。どうにも竹下通りには似つかわしくないなぁと思いつつ、何とも言えない居心地の悪さを感じたことを今も鮮明に覚えています。
その頃のことてす。竹下口から明治通り方面に竹下通りを中程まで進んだ左の路地を入ったところにサーカスでもするのか?という大きなテント小屋があり、その中に所狭しとスニーカーが積まれ販売をしていたアレはいったい何だったんだろう?
■AIR MAX DAY
3月26日はAIR MAX DAYと大々的に謳い出されて今年で6年?7年?
それ以前にナイキさんが謳った記憶に残る記念日は7月19日(ナイキの日)だったわけですが、これは日本でしか通用しない語呂合わせなので3年もしない内に自然消滅?した感じです。
東京のみに特化しているところは相変わらずいただけません(PR費を投じて展開される広告もイベントも首都圏以外のユーザーにとっては無に等しい←これは地方に住む者にしか実感出来ない)が、ナイキさんがやるAIR MAX DAYを祝う取り組みについては良いと思っています。
【補足】普段、自分のスニーカーが紹介されたとか誌面に載ったとか、わざわざ言うことではないので自らお伝えすることは殆どないのですが…文脈的にAIR MAX DAYを全否定していると誤解されそうなので…些細ではありますがナイキさんのAIR MAX DAYにもちゃんと?協力させていただいたつもりでいます。
3月21日午後8時からSNKRSで生配信された
AIR MAX DAY Heritage of Air Max 1 LIVE TALK用に数足をリース。
下の画像はその中の1足。

ところで、私個人はAIR MAX DAYだからといってAIR MAXを意図的に履くことはないです。AIR MAXも他のモデルも好きな時に好きな様に履きたい。たまたまAIR MAXを履きたい気分の日が3月26日だったら別ですが。決して意固地になっているわけでもヘソ曲がりなわけでもありません。

ナイキさんのアナウンスに同調してAIR MAX誕生の日を祝い盛り上げるようとする試みも大いにやればいいと思っています。
ですが、自分がそれに乗っかって盛り上げようと発信するのは、どうにも分不相応な気がするのと…3月26日はAIR MAX DAYなのでAIR MAXを履かなければならないという圧?(笑)みたいなのが性に合わないんです。
元々、型にはめられことが苦手ということもあるのですが、スニーカーくらい好きな時に好きに履かせてよ!(笑)。AIR MAX DAYだからといって、それを妨げないで。
別にAIR MAXを履くことでしか祝えないわけではないし、買えなかったけど(/ _ ; ) ADIMATICを履いてスニーカーが好きな者同士で乾杯したっていいじゃないですか。心を広くおおらかに!JUST DO IT!です。

ん?やっぱりヘソ…曲がってます?(笑)。
■Alternate Sneakers
Alternate Sneakersは今年(2022年)9月15日に開設25周年を迎えます。

Alternate Sneakers(オルタネートスニーカーズ)というサイト名は、いろんなスニーカーを紹介したいという私の思いをうけて、スニーカー好きの知人につけてもらったものです。
何故、自分で命名しなかったのかというと自分で考えると拘り過ぎてしまい、とても手前味噌なものになってしまいそうだったからです。
alternateは直訳すると代替となります。文法的には正しくはないのですが…時代と共にどんどん移りゆくスニーカー、その中に登場するいろんなスニーカーという意味が込められています。
加えて、サイトを開始した当時…有線放送(現USEN)のリクエストランキングを毎週発表する業務を私が担当していたことから、ロックからクラシックまでジャンル毎に分けずごちゃ混ぜにしてひとつにまとめたイギリスの音楽チャート「Alternate Ranking」に因んでということも含めていると、命名者である知人が説明してくれました。
そして、彼は「名前なんて後からついてくる」と…。
お陰様で25年近く経った今でも略称のオルスニと多くの方に呼んでいただいています。
2007年のタイトル画像のひとつ

ここ数年、SNSにかまけてサイトの更新頻度は以前に比べて低くなっていますが…自分の中では何ら変わってはいません。
25年という歳月の中、自らを取り巻く環境は変貌を繰り返し、生活スタイルも変化しました。その変化に則した無理のない範囲で淡々と続けていることが長くやって来れている理由のひとつです。
2012年のタイトル画像のひとつ

私がこれまでに手にしたスニーカーの約8割はNIKEです。NIKEに特化するつもりは微塵もなく、その時々に思うがまま買い続けていたら結果的にそうなったに過ぎません。
故に気に入ったものがあれば、予算の許す限り…adidasやCONVERSE、new balanec、Reebok、PUMAも買います。最近はUGGやHOKAの魅力にも目覚めました。
所有スニーカーの比率からいっても、やはりNIKEが最も好きなのは間違いないです。かといってNIKE様と媚び諂うことはしません。
良いことは良いと言いますが何でもかんでも素晴らしいと歯の浮く様なお世辞を言わないのは勿論…これは!と直感した時は今後も物申させていただきます。
なので先に謝っておきます。ごめんなさい。
2017年のタイトル画像のひとつ

私の中には今もプロモーションや編集という過去の職歴で得た経験が良くも悪くも染み付いています。
USENはレコード会社とユーザーであるリスナーの中間に位置する存在です。そこで得たものは一生消えることはないでしょう。
故に送り手側であるメーカー及びリテーラーと…ユーザーでありながらその中間的な位置で情報を発信するAlternate Sneakersという場所が、私にはとても居心地が良いのです。
Alternate Sneakersはどんな形であれ、これからも続きます。
Alternate Sneakersは個人が運営し継続し続けているスニーカー情報サイトとしては日本で、もしかしたら世界でも最古かも知れません。
知らんけど(笑)。
古い友人にはこう伝えてあります。
「サイトの更新が3ヶ月以上滞っていたら死んだと思ってくれ!」と(笑)。
