次なる新しい世界でスニーカー市場がどうなるのか?

世界中で新型コロナウイルスの感染拡大が始まってから5ヶ月余りが過ぎ、本格的な終息の見通しが立たず今もなおコロナ禍の最中にある情勢下において、アフターコロナやウィズコロナ、新しい生活様式などというワードが飛び交っています。
そして次なる新しい世界でスニーカー市場がどうなるのか?という展望を語るには知識も経験も足りないと自ら承知した上で、思う事を少し書いてみたいと思います。

国内における新型コロナウイルスの感染者数は17,000人を超え、亡くなられた方は1,000人に迫ろうとしています。
世界的に見ると6,200,000人に近い感染者がいて、死者は380,000人に到達する勢いです。そして、これらの数字は未だ未だ増えつつあります。

アメリカでのスニーカーショップ強奪事件
アメリカでは都市封鎖(ロックダウン)が行われ経済活動がほぼ完全に停止。収入源を絶たれ自由な行動をも制限された人々のストレスは並大抵のものではなく、それに耐え切れなくなった民衆によってロックダウン反対デモが勃発。
更に拍車をかける様に白人警官が黒人の容疑者に過剰な力を加え殺害に至ったという事件が発生し、人種差別に対する抗議デモがアメリカ各地で激化。その多くは平和的な抗議デモであるものの、一部がエスカレートし暴徒化。ロックダウンによる休業中の高級ブランド店やドラッグストアをはじめ、私達にも馴染みの深いスニーカーショップが略奪強盗に遭い壊滅的な被害を被っています。

special thanks:KENJI@NANTRA TV

暴動や略奪など凡そ日本では考えられない事態ではあるものの、数ヶ月前までは誰も予想だにしなかった事態が新型コロナウイルスによって私達の生活は一変しました。
マスク不足や消毒エタノールが市場から消え、ネットのフェイクニュースによって一時期ではあるもののティッシュペーパーやトイレットペーパーを我先に買い求めた状況を見ると、日本でもあながち有り得ない事ではないのかも知れません。

被害に遭ったスニーカーショップのオーナーや従業員の方達を思うとやるせない気持ちになった人も少なくないはずです。

私もスニーカーが好きなユーザーの1人ですが、ユーザーだけが仲間ではなく、ショップで働く経営者やスタッフも含めてスニーカーをとり巻く環境の中に存在する全ての人々がひとつの集合体であり仲間であるのだという感覚を常に持っていたいと思います。
今回の暴動や略奪が例え遠く離れたアメリカでの出来事であるにしろ、決して他人事とは言い切れないのですから。

■コロナ以降の日本のスニーカー市場はどうなるのか?

新型コロナウイルスのパンデミックによって経済、そして私達の生活への影響が広がり出した頃、政府が打ち出した入国制限によってインバウンドが激減。4月に入ると海外からの渡航者数は前年比マイナス95%以上と報道され、街から外国人観光客が一気に消滅しました。

インバウンド需要の高いスニーカーショップは軒並み売上げを5割以上落とし、それまでフルタイムで勤務していたアルバイトを経費削減の為に交代制にしたり、中には雇用カットに踏み込まざるを得ない窮状を目の当たりにしました。
そして、緊急事態宣言が発せられた頃には多くのスニーカーショップが休業要請を受けて休店。
更にはリテーラーの休業によって納品スケジュールの変更を余儀なくされた各メーカーの営業マンもその調整に忙殺される様子が窺えました。
休業を余儀なくされたリテーラーは実店舗で見込めた筈の売上げを補うべくECサイトの強化を図るものの、優秀な結果をもたらした所でも6割強の穴埋めが精一杯と聞き及んでいます。

こんな時、例えばナイキの過去2〜3年に発売されたAIR JORDAN 1 RETRO HIGH OGやTravis Scott、OFF-WHITEとのコラボレーションをはじめとする確実に右から左に売れる超人気モデルを緊急大量生産し、それを各リテーラーに供給すればこの窮状を間違いなく救える筈なのに何故そうしない?世界に冠たるナイキに出来ない筈がない!と素人考えながら強く思った事は事実です。
現実的にはコロナによって工場の稼働がままならないであろう事も推察出来るのですが、それでも先の様な考えが脳裏を過ぎる程、殆どのリテーラーは窮地に陥っていた、もしくは今もなお窮地の真っ只中なのです。

一方、4月下旬頃から6月にかけてメーカー直販サイトで断続的に期間限定プライスダウンセールが実施されていました。これは好意的に見るとステイホームの名の下に外出を自粛しているユーザーへのエールの意味合いがあっての企画だったのかも知れません。
私の様な1ユーザーにとっては有り難い措置ではあるのですが、リテーラーにとっては堪ったものではないのではないか?
実店舗での営業が出来なくなり、ECサイトでの売上げを増やして何とかこの難局を乗り切ろうと粉骨砕身闘っている時に、その僅かな売上げを根こそぎ奪い兼ねないメーカー直販セールに対して「ふざけるな!」というリテーラーの声が聞こえて来そうな感じがしました。

さて、かなり遠回りしましたが…アフターコロナにおけるスニーカー市場は一体どうなるのか?ですが…3月26日発売のAIR MAX 90 DUCK CAMOを最後に行列の出来る様な店頭での抽選販売がほぼ皆無になりました。
私達スニーカーファンにとって抽選の為に並んで出来る行列はある意味、風物詩というか当選するしないに拘らず高揚感を味わえる要素を持ったイベントでもあったわけですが…新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から抽選対象になる様なアイテムはウェブ抽選のみに切り替えられ、件の行列の出来る店頭抽選販売は現在も自粛され続けています。

また、ほぼ100%に近い状態で消えてしまったインバウンド需要が戻るにはどれだけの時間を要するのか?が今後の日本のスニーカー市場を占う上で見過ごせない要素である事は間違いありません。但し入国規制が緩和されて直ぐに以前の様に戻る事はないだろうというのが大方の見方です。
しかしながら、いきなり100%にならないにしても、新型コロナウイルス以外の好ましくない事態に見舞われなければら徐々にインバウンドは戻って来ると考えます。
その戻り率は不用不急の外出自粛要請が緩和された都心部の人口増加比の動きがひとつの目安になるかも知れません。
そして2021年に延期された東京オリンピックが予定通り実施されるなら、その開催が国内需要だけでなくインバウンド需要の完全復活の大きなターニングポイントになる筈です。もうならなければ、日本のスニーカー市場は再び冬の時代を迎えてしまうのかも知れません。

メディアではアフターコロナだのウィズコロナだのというワードが頻繁に取り沙汰されていて、同時に東京アラートが発動される等、未だ予断を許さない状況が続いています。
さらに憂慮すべきは必ず来ると言われている第二波第三波の到来です。
その波が第一派程ではないにしても、再び緊急事態宣言が発せられ各地の自治体から休業要請や休業指示、外出自粛の要請が出るかも知れないという懸念から余剰な支出は控えて貯えておこうというのが人間の心理だと思います。
案の定、先日見ていたニュースではコロナ以前よりも安価な物の消費が増えていると報道されていました。そうです、経済活動が再び開始されても買い控えや低価格商品しか売れないとなるとコロナ不況は想像以上に根深く、そこから脱却するまでの時間が長くなってしまいます。
これをスニーカー市場に置き換えると、売れる物と売れない物の二極化が益々顕著になる可能性が大きいという事です。

6月から7月にかけて東京オリンピックに因んだモデルのデリバリーがあると思われます。
開催が延期されたオリンピック記念モデルが果たして売れるのかどうか?悲観的要素は後を絶ちません。

こうやってネガティブな事をばかりを並べ立てると暗い雰囲気になってしまいますが、あるスニーカーショップのスタッフさん曰く「スニーカー好きの人達はコロナの影響を感じさせない人が多いです」と仰っていました。
これは、如何に新型コロナウイルスといえどスニーカー好きのスニーカーに対する情念を蝕む事は出来ない!という事なのだと思います。

この文章を書いている時点は、緊急事態宣言が解除され、街に少しずつ人出が戻りつつあり、アメリカでも経済活動が再開され始める頃です。
今回のコロナをきっかけに接客による実店舗を切り捨て、ネット通販を主軸にしようとする動きが見受けられます。
営業自粛によって失われた実店舗の収益をネットが助けてくれたのは確かです。でも、考えてみて下さい。その逆もあり得ると思いませんか?
未知の新型コロナウイルスによって誰も予想しなかった事態が起こり僅か数ヶ月の間に実社会を大きく変えてしまいました。同様にウイルスはネット社会にも存在します。今後いつ何時、未知のネットウイルスによって世界中のネットワークが長期間不通にならないとも限りません。そうなるとその間、ネット通販は完全に停止します。ならば、これからは実店舗とネットの両翼を強化する事こそが重要なのではないかと個人的に思うのですが、如何でしょう?

最後に…パンデミックはいつか必ず終息します。
街に人が溢れ、毎週末には店頭抽選販売が実施され、長い行列を成し、買えた買えなかったで一喜一憂する。
スニーカーファンもスニーカーショップも以前にも増して元気で活気のある日常が1日も早く世界中に戻って来る事を切に願います。

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