スニーカー系ネット情報黎明期&ビンテージマガジンブーム

TEXT by Koji UEDA ( Alternate Sneakers )

■Dawn of internet information on sneakers
1996年から2001年頃までの間…今のスニーカー系YouTubeチャンネルの様にスニーカー情報サイトが乱立。現れては消え、消えては現れるを繰り返していました。
異なるのはYouTubeに比べてインターネットそのものの普及率が圧倒的に低く、その利用人口も少なかったため…2000年以前はネットでのスニーカー情報がなかったと語られることがありますが、実際は1996年には既にスニーカー情報を発信する個人サイトや通販を目的とするショップサイトが存在していました。

Boon 1997年5月号に掲載された
「スニーカー最新情報が集まる、日本人発の強力5サイトがこちら」

1996年後半に既に開設されていた日本最古のスニーカー系個人サイトはこの5つではないかと思います。
1996年当時の日本のインターネット人口は僅か3.3%と言われており、翌年の1997年になっても10人に1人以下(9.2%)しかインターネットを利用する人がいなかった時代です。
しかも、ホームページ作成ソフトなど存在しない頃ですから、それなりのスキルがなければ自らサイトを作ることが出来ないため、誰もが手軽にネットを使って情報発信をする現在とは決定的な環境の違いがありました。

私は④Nike? That’s It!を含めBoon 1997年5月号に掲載された5サイトをほぼ毎日閲覧していました。
②The Niker’s Parkを運営するFUMON氏と③NIKE SPACEを運営するDAISUKE氏は、当時それぞれ偏差値の高い中学校に通う学生さんで、1〜2を争うアクセス数を誇りながら受験勉強に専念するという理由で、確か1998年の春頃にまでには閉鎖されてしまいました。
①Love SneakersのKAZUOMIさんと⑤Kazu’s Favorite NIKEのKAZUYUKIさんは私の知り合いで、25年以上経った今もSNSを通じ互いの生存確認(笑)が出来ています。実は暴露(叱られるかな?)すると、KAZUOMIさんのご職業は医師です。
この5サイトの他に「ナイキはアメ横で探そう!」というアメ横に特化したコアな個人サイトがあり、とても印象に残っています。

因みにLove SneakersのKAZUOMIさんは1996年秋頃に発売された月刊宝島でも紹介されていて、TVチャンピオンスニーカー王決定戦にも出場。【偏愛】Vol.4 ちゃんぷ Kawasato Basketball Classic Kicks Collectionでもお馴染みの河里さんと対戦されたお1人で…更にAlternate Sneakersという私のサイト名を付けてくださった方でもあります。
更に言うと…2000年代に登場したペプシコーラのアディダスボトルキャップの製作にあたり、型取りのために所有のピンテージモデルをアディダスに貸出しをした数名の内のお1人です。
余談ですが、その数名の内の別のお1人も私の知り合いで、某大手広告代理店に勤めるスニーカーマニアの方で、現在もKaminari Oyajiというサイトを続けられています。

ネットの通信回線もダイヤルアップ、やっとADSLが登場したお世辞にも手軽とは言えない状況下で、スニーカーが好きで然も新しいものに対して好奇心旺盛な僅かな層ではありましたが、既にこの時…1996年にはインターネットを使ったスニーカーのコミュニティは産声を上げていたのです。

1996年から1997年にかけて人気を二分していた掲示板でスニーカーマニア同士の交流が盛んだったThe Niker’s Parkと最新情報が早かったNIKE SPACEという2大人気サイト。そのどちらにもなかった要素である画像をメインにし、ナイキに拘らず幅広いスニーカー情報を発信するサイトとして1997年9月15日にAlternate Sneakersを始めました。
故に私のサイトは「スニーカー最新情報が集まる、日本人発の強力5サイト」に掲載されているサイトの存在があったからこそ誕生したと言っても過言ではありません。

他にも、Boonの同ページに掲載されている「オンラインショッピングの仕組みを追ってみよう」の講師として紹介されている並行ショップHAND CARRYのオーナーさんが、現在スニーカーファンブックシリーズを作られている方であると暴露しておきます(笑)。

■Vintage magazine boom
紙媒体が苦戦している、本が売れないと言われる様になって久しく…出版業界は電子書籍にシフトする動きが見られます。
しかしながら、私の様な昭和生まれの人間はやはり紙媒体への拘りが強くあります。
ですが、10数年前…ムック本を除く溜まりに溜まったメンズファッション誌の数々(Boon、GETON!、COOL TRANS、Street Jack等)約120冊余をやむなく廃棄してしまいました。今手元にあるのは捨てる際に発見できなかった約20冊のみです。
今思えば、残しておけばよかったという後悔も少なからずあります。
それというのも、昔のメンズファッション誌を古書店やリセールサイトで探すスニーカーヘッズが増えはじめいるからです。もしかすると密かにビンテージマガジンブームが訪れているのかも知れません。

そして、やはり…ないもの、手に入りにくいものが欲しくなるという心理はここにも働いているのだと思います。
興味のある人にとって宝の様な存在が、そうでない人からすると嵩張り重く邪魔なガラクタでしかない。この構図は実はとても興味深く、双方の捉え方の狭間にビジネスチャンスが潜んでいるのかも知れないですね。

今回、このコラムを書くにあたって貴重な蔵書の画像を提供してくださったhruc_yusuke(@ysk_4_2_7)さんも2000年以前のBoonをコンプリートしようと古書店やリセールサイトで買い集めているそうです。

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