スニーカー戦線異状あり?

TEXT by Koji UEDA ( Alternate Sneakers )

90年代前半の映画の様なタイトルを付けてしまいましたが、ナイキの話になります。SNKRSの勢いが以前より落ちて来ていると感じている方も少なくないと思います。
もちろん取扱い数が増えている事で実売数は変わらないということもあり得るでしょう。
しかしながら、サイズ欠けもあまりなく完売率は確実に下がっています。
10月のラインナップに目を引くものが少なかった?ことに加えて11月に発売予定のTERMINATOR HIGH ジョージタウン(紺灰)やAIR JORDAN 1 HIGHシカゴ(白赤黒)にユーザーが気を取られて、他のモデルへの注目度が散漫になっているという見方も出来なくはありません。

この様な短期的な事象で中長期的な見通しを立てるのは危険を伴いますが…今年6月以降の状況を踏まえて10月を振り返ると、もしかするとスニーカー市場がある領域を超えてポジションチェンジした可能性を否定出来ません。
このポジションチェンジがどこに着地するのか?
現時点では未だ何とも言えないというのが正直なところです。

ブーム終焉(そもそもブームだったのか?という疑問は残りますが)やスニーカーが終わると囁かれる様になって久しいものの、SNS等で騙し騙し持ち堪えていたものが、その効果が薄れそろそろ通用しなくなって来た公算が大きい。

注目度の高い前出のTERMINATOR HIGH ジョージタウン(紺灰)やAIR JORDAN 1 HIGH シカゴ(白赤黒)、12月に控えているAIR ZOOM FLIGHT 95の白赤がカンフル剤的な役割を果たせるのか?それとも売れるものと売れないものの格差を更に広げるトリガーとなるのか?

スニーカー人気なるものが下火になる時期を何度か肌で感じて来たユーザーとして思うことはひとつ。ブームが去ろうが自分がスニーカーを好きでさえいれば関係ないということ。
ただ懸念するのは転売ブーム、投資対象としてスニーカーを捉えている人が…もし暴落した株の様になった場合、スニーカーヘッズを名乗り続ける人がどれほど残るのだろう?ということです。
人が減り活気がなくなるのは寂し限りですから。

そして、以前にも申し上げましたが…日本のスニーカー市場全体を支えているのは、抽選対象となり得るハイプスニーカーを中心に買い求める私達の様な存在ではなく…郊外の量販店で1万円未満で売られている所謂インラインモデルを購入しているスニーカーヘッズでない一般不特定多数の方々であるという現実をもう一度肝に銘じておきたいと思っています。
都心から離れた場所にあるABCマートやナイキの取扱いはなくなったもののSHOE PLAZA他を展開するチヨダグループを軽んじてはいけないのです。これらのスニーカーショップが日本のスニーカー市場をしっかりと底支えしてくれているからこそ、我々はハイヒートモデルを享受出来ているということを忘れないで欲しいです。

スニーカーの後はブーツが人気になるというパターンは過去に幾度となく繰り返されています。
2020年代もそれを繰り返すのか?それともナイキを筆頭に他のメーカーが世に送り出すスニーカーが私達を虜にさせ続けるのか?

ブームが終わるとか終わらないではなく、明らかにこれまでとは異なる空気感が漂い出したこのタイミングが何なのかを俯瞰で見ることもスニーカーライフの醍醐味だと思います。

放っておいても右から左に売れて行くものが少なくなった今…売れないものをどうやって売るのか?
メーカーのウェブ直販チームもリテーラーも真価が問われる時期を迎えています。
そして立場は違えど我々ユーザーも、この先スニーカーとどう向き合って行くかの覚悟を決める時でもあります。

さぁ、どうする?

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