
Ura Harajuku Golden Era/adidas CAMPUS SUPREME
TEXT by Koji UEDA ( Alternate Sneakers )
2月25日にadidas CAMPUS SUPREMEが20数年ぶりに復刻発売されました。
これは昨年のADIMATICの成功をきっかけに90年代後半から2000年代初頭にかけてブームとなった裏原宿カルチャーを背景に誕生したヒット作を再び…という流れから来ているらしいです。

裏原ブームをリアルタイムに体験した方にとってCAMPUS SUPREMEといえば藤原ヒロシさんとHECTICのYOPPI (江川芳文)さんを想起する人が多いと思います。
当然ですが私は藤原ヒロシさんとはご縁がなく面識もありません。YOPPI (江川芳文)さんもHECTICの事務所に遊びに寄らせてもらっている時に…誰だこいつ?みたいにチラ見された(苦笑)くらいで面識があるとは言い難い。80年代からのスケーターであり、真柄さんとHECTICを創設し…ワゴンセールになっていたnew balance MT580を大ヒット作に変貌させた名実共に本物のクリエイターさんだという認識を私が一方的に持っているだけの関係です。
私自身、それまでの仕事柄…有名な人だからといって用もないのに声をかけたり、ましてやサインやツーショット撮影をお願いするというタイプではないので…何かのきっかけがなければ何処まで行っても平行線のままということに尽きます。
先月、あるニュース番組で裏原宿の今と将来の展望みたいな特集が組まれていました。その中で「裏原宿」というワードを聞いた事がないという世代がいる事に今更ながらに驚いてしまいました。それはマイケル・ジョーダンが実在の人物である事を知らない人がいると知った時の衝撃に近いものでした。
そのニュース番組を見て思ったのは、2000年前後のあの雰囲気の裏原宿の空気感は二度とは戻って来ないという事。そして、過去とは違う新たな裏原宿になって行くんだろうという二つです。
そして、最新ファッションの情報発信エリアとして黄金時代を極めた当時の雰囲気を伝え残す事の難しさも感じずにはいられなくなりました。
2000年前後の裏原宿は常に人が溢れ賑わっていたのは誰もが認めるところだと思います。但しそれだけでは、そこにあった空気感は何ひとつ伝わりません。
それでも間違った解釈が伝播され、事実でない事を信じてしまっている人達に本当はこうだったんだよと伝えようとする行為は大切で、前出のニュース番組にも出られていた株式会社 FANATIC代表の野田大介さんが「あんとき」のストリートと題し裏原宿の歴史を(mimimimimimimimimi.com)で発信し続けられていますので、是非ご覧になってみてください。

裏原宿とは裏原系と呼ばれるショップが立ち並ぶ場所という意味合いだけではなく、裏原系ブランドのアパレルに身を包みそのエリアを歩き行き交うことで完成するステージであり、ストリートファッションのテーマパークの様な雰囲気が街全体に漂っていた…というのが私自身が持つ裏原宿の黄金時代の姿です。
A BATHING APE
BOUNTY HUNTER
GOODENOUGH
HEADPORTER
HECTIC
HYSTERIC GLAMOUR
MACKDADDY
MASTERPIECE
NEIGHBORHOOD
NITRAID(nitrow)
NUMBER (N)INE
READY MADE
REVOLVER
SOPH.
STUSSY
Supreme
SUBWEAR
SWAGGER
UNDERCOVER
WTAPS
XLARGE
等のヘッドショップが軒を連ね、
加えて日本発のスニーカードメスティックブランドである
MAD FOOT!
TAS
UBIQ
visvim
が台頭。
繰り返しになりますが、2000年前後の裏原宿には知識だけでなく藤原ヒロシさん、NIGOさん、HECTICの真柄尚武さんやYOPPI (江川芳文)さん他、センスや才能が備わったカリスマ的なクリエイターが凄み、その方々が主宰する各ブランドのヘッドショップが軒を連ね、そして若きユーザー(ファン)が集まることで構築される街そのものがカルチャーだったのです。

裏原宿全体がひとつの生き物の様に感じられた時代に注目された数々のスニーカーの中にCAMPUS SUPREMEもありました。私の様なオールドファンはノスタルジーを求めて…となるのですが、若きユーザーの方々にも実際に履いてもらって2000年当時、藤和ヒロシさんやYOPPI (江川芳文)さんが何故adidas CAMPUS SUPREMEをセレクトしたのか?その理由を想像してみて欲しいなと思います。そしてそれが裏原宿の黄金期を僅かながらであっても感じ取る入口になり、そこで得たものがリセールマーケットに左右されない新たなスニーカーシーンに繋がると信じています。
