あれから1年

TEXT by Koji UEDA ( Alternate Sneakers )

昨年の今の時期頃【偏愛】Vol.2 NIKE DUNK COLLECTIONのために2階にあるスニーカー部屋からDUNKをピックアップし、リストを作成。atmos心斎橋店さんに用意してもらったダンボール箱を受け取りに行き、梱包して100足を東京に発送し、雨の中…残りをatmos心斎橋店さんに引き渡すために孤軍奮闘していました。
梱包して発送するくらい半日もあれば楽勝だと思っていたのですが舐めてました。全てを終えるまで3日以上を要し、スニーカーショップのスタッフさんの大変さを垣間見たと同時に、体力の衰えを感じずにはいられなかった2021年の早苗月でした(苦笑)。

【偏愛】Vol.2 NIKE DUNK COLLECTION(以下【偏愛】DUNK展)から間もなく1年になります。年齢を重ねると体感的にあっという間に1年が終わる様に感じます。5年前の出来事も10年前の出来事も…2?3年前の出来事と混同する(苦笑)。故に若い世代の人には昔の話ばかりすると思われるのですが、本人はついこの前の様な感覚で話している。歳をとり見るもの聞くものが増えると誰もがそうなるのでしょう。そこの10代、20代、30代の方。貴方達も例外ではありませんよ。自分は絶対にそうならないし、ならないにしようと思っていても…必ずそうなってしまうのです。だって、私もそんふうにならないと思ってましたから(笑)。

さて、冒頭から脱線してしまいましたが気を取り直して【偏愛】DUNK展に話を戻します。
【偏愛】DUNK展はatmosさんが主催する【偏愛】シリーズの第2弾として大阪を皮切りに札幌まで全国8ヵ所で開催されました。
本明さんからのご依頼で手元に残っている220足余りのNIKE DUNKを展示用としてピックアップしたわけですが…こんなことなら、もう履くことはないだろうと手放した約150足を残しておけばよかったと少し後悔しました。元来、自分の所有するスニーカーを人様にご覧いただくという概念は自分の中に微塵もなかったので仕方ないのですが…。
そして、常々申し上げて来たことですが…サイトの運営もSNSもあくまでスニーカーが主役であり、私自身が目立つことが本来の目的ではないというのはこれまでも今も、そしてこれからも変わることはありません。

私が【偏愛】DUNK展の会場に出向いたのは地元である大阪の3日間と東京の3日間、そして名古屋と京都の初日のみです。しかも、いずれの日も終日ではなく数時間足らずでした。その理由もやはり主役はDUNKであり私自身ではないと思っているからです。にも関わらず顔を出したのは、atmosのスタッフさん達が展示から片付けまでを担ってくださっているので、せめて挨拶くらいはという思いからでした。
広島、福岡、高知、札幌には交通費や宿泊費がかかるので断念さざるを得ませんでしたが、現地のスタッフさんには1年近く経った今も感謝しています。
何より【偏愛】シリーズはatmosさん主催のイベントなので、展示されたDUNKが…たまたま私の所有物であったというだけのことなので、私自身は殊更特別なことをしたとは思っていません。

ただ、出向かせていただいた会場では…私のサイト(オルスニ)を古くから見て下さっている方々もご来場され、お声をかけていただきました。オルスニを見てスニーカーを集める様になったという方もいて、嬉しい反面…浪費の片棒を担いだのでないかと申し訳なくもありました。その中にはご家族で来られていて…奥様にご主人がスニーカーを買われていれる間はお小遣いがそちらにまわるので浮気の心配はないですよと、わけの分からない言い訳をする始末(苦笑)。
写真を一緒にと言ってくださったりサインを求められたりする度に、やはり主役はスニーカーなので有り難く思う反面とても申し訳ない気持ちでいっぱいになっていました。
だって、私はスニーカーが好きなただのおじさんですよ(笑)。はっきり言って、とても誉められた存在ではありません。なのに特別な存在かの様な扱いをされると何故か物凄く悪いことをしている様に思えてしまうのです(苦笑)。
持ち上げられ煽てられることで自覚のないまま勘違いを始め…無意識の内に言葉や態度に出てしまわないかという恐怖があり、そうならない様に心がけなければと。

DUNKの展示イベントをやりたいから協力して欲しいと本明さんから依頼され、お引き受けした決め手のひとつに東京以外でも開催する予定だということがありました。
スニーカーのイベントといえば9割が東京開催です。日本は東京だけではなく、スニーカーファンも全国に存在します。首都圏以外に住む方々にもスニーカーイベントの機会を提供してくれるatmosさんの試みは画期的なのです。
もちろん、本明さんとの20年以上のお付き合いがあってこそですが、断る理由がありませんでした。

スニーカーイベントは費用対効果が理由でしょうが、メーカー主催のものは地方を切り捨てた感が否めません。【偏愛】シリーズの後もアディダス会や先月から始まったフリーマーケット「楽市」も首都圏以外で開催するというatmosさんにしか出来ないスニーカーイベントだと思っています。そして、スニーカーカルチャーとはそういう試みから生まれるのだと確信しています。

そらから、前回のコラムでも少し触れましたが…【偏愛】DUNK展やInstagramで私のことを知ってくださった方は特にナイキさんに対して口煩いことばかり言っている奴と思われがちですが…昨年夏のCO.JP Tournamentや今年のAIR MAX DAYにも DUNK以外のスニーカーをリースするなど、苦言ばかりではなく一応協力もしているんですよ(笑)。

【偏愛】DUNK展で展示したものの9割近くは未使用のものです。かといって、飾ったりコレクションが目的ではなく履くためにマイサイズばかり(体重が48kgの頃のものは小さなものが多いです)です。
では、何故新品のまま残っているのかというと大きく分けて理由は2つあります。
まず、履くつもりだったけど後からどんどん増えるのでおろすタイミングを逸してしまった。もうひとつは同じものを2足買って1足はおろし、もう1足は履かずに保管していたからです。同じものを2足持っているのは気に入っているからというのもありますが…後に復刻が出た際、比較画像をサイトに載せるために綺麗な状態のままでないと正確な比較が出来ないと考えてのことです。

保管方法はスニーカー本体をジップロックに入れただけの簡単なものです。ジップロックにしたのは封をするのが簡単だからで、100枚1800円ほどの安価なものを使っています。
ジップロックに入れるのは変色予防のためで、加水分解は防げません。
何もせず箱に入れていても必ず変色するわけてまはありませんが、先にあげた2足買いによって分かったことが過去にあります。
1足はジップロックに入れ、もう1足は直ぐに履くつもりでジップロックには入れませんでした。数年後、その2足を取り出し並べてみたところ、白いメッシュ部分に僅かながら違いが見られたのです。
ジップロックに入れていなかった方が入れていたものより白いメッシュ部分にくすみが発生していたのです。
それぞれ単品で見た際には気付かない範囲ですが…並べて比較すると明らかにジップロックに入れていた方が白かったのです。
意図的にやったわけではないのですが、同じ場所に全く同条件で保管していてもジップロックに入れないより入れた方が変色を遅らせることが出来るという実体験に基づいて、長期保管するならばジップロックに入れることをお勧めしています。

乾燥剤(シリカゲル)もスニーカーと共に入れることがありますが、これは気休めに過ぎません。残念ながら現時点で加水分解や経年劣化を止める術はないと思っておいてください。
因みに陽の当たらない場所でコレクションケースに入れて飾っていても蛍光灯などの照明が変色の要因となるので、注意が必要です。例え紫外線カットのケースであっても100%安全とはいえないと思っておいた方がいいかと思います。
【偏愛】DUNK展で20年前のものが綺麗なまま残っていると感じていただけたのは、ジップロックに入れていたから。ただそれだけの理由なのです。

ジップロックに入れたからといっても経年変化は完全には防止することは出来ませんが…入れないよりは遅らせることが出来るのは確かです。
皆さんのコレクションが長きに渡って可能な限り購入した時の状態を保てることを願って…

最後にジップロックを連呼しましたが、ジップロックのステマではありませんよ(笑)。

Related Article List