
ADIMATIC+1996年
TEXT by Koji UEDA ( Alternate Sneakers )
昨年開催していただいた【偏愛】NIKE DUNK COLLECTIONで私=DUNKという印象を強く持っていただく様になったのでは?と思います。
確かに好きなスニーカーは?と問われるとNIKE DUNKと答えます。
所謂コート系が好きなので、DUNKだけでなく過去20数年を遡ってもコンスタントにAIR JORDANシリーズ(1〜7、10、11までですが)やAIR FORCE 1も購入し履き続けています。
また、NIKEほどではないですがadidasも履きます。SUPER STAR、FORUM、CONCORDE、BROUGHAM等は今も未使用のまま手元に残っているものがあります。

ADIMATICが初登場した1996年といえばハイテクスニーカーブームが頂点に達し、ネット上ではいくつかのスニーカー情報サイトが誕生した時期にあたります。とはいえ、9割以上の人にとってはBoonを代表とするファッション誌が情報の源であった古き良き時代でもありました。
オリジナル発売時のADIMATICに対する私個人の印象は「見たことがある」程度しかなく、果たしてそれは店頭であったのか雑誌の誌面上であったのかさえ定かでなく…ADIMATICとはどういう存在だったのかを正確に知るには、ショップスタッフとして店頭に立ち実際に売っていたKicksの河里さんに訊くのが一番正確だ!と考え連絡をしました。
河里さんはその頃、関東、中部、関西を中心に20店舗以上を展開するアムスポーツフットウェア(アメリカ屋靴店が運営していたスニーカーショップ)の大阪京橋の京阪モール店に勤務。仕入れや販売を担当されていました。

その河里さんによると
『ADIMATICは販売してましたがスケートボードシューズという以外はそれほどバックボーンあるスニーカーでなかったので特別知識あるわけではないです。後にLAWSUITというADIMATICに似たスニーカーとイメージが被っていて、曖昧ですが3カラーほどあったような思い出です』
『ですが、東京では人気だったようでアム京阪モールではそれほど売れていなかったので関東のお店に店間移動させてました』
『1996年の年明けに大阪でAIR MAX 95が売れ出した時、上司である部長が「大阪は遅いよなー」と嘆いていましが、関東に転勤して僕もその言葉の意味がよくわかりました』
『なので、ADIMATICは流行に敏感な人がハイテクスニーカーブーム真っ只中で新しいスタイルを見いだした1足なんだと思います。そして、Boonの記事も後押しとなり、それに誘われる様に探し買い求めた人が多かったようです』
という河里さんの証言を得ることが出来ました。

余談になりますが、その頃は紙媒体が絶大な影響力を持ってはいましたが、SNSが普及した現在と違い情報の伝達スピードに大きな地域差がありました。
東京がファッションの情報発信基地と言われたのも、地方よりも情報が多く早かったからですが…地方は地方でそれぞれのエリア独自の特色があり、それがカルチャーとして面白くもありました。良い悪いは別にして、今はSNSによって便利になった分、流行にも地域差が少なった様に感じます。


ハイテクスニーカーブーム以前、オールドスクールなスニーカーの代表格といえば…私と同世代の人達の中ではadidasでした。
80年代中期から90年代にかけて活躍したヒップポップグループRUN DMCが着用したことはあまりにも有名ですが…ストックロゴとショーンフォントで表現されたOLD SCHOOL FLAVORの文字と共に、権利関係で3本線が4本線になっているもののデザインは明らかにadidas SUPER STARが描かれたSTUSSYのアパレル群が多数存在することからも80年代にアメリカのストリートを席巻したのはadidasだったことがわかります。

90年代…日本ではハイテクスニーカーが注目され、NIKEの黄金期が始まります。
ですが、NIKEに限らずadidasやReebok、new balance他、スニーカー全般が人気で売れていました。
そのピークの最中に登場したのがハイテクではなくオールドスクールテイストを纏ったADIMATICで、先にも書いた通り東京のファッションに敏感な人達と雑誌の力で瞬く間に入手困難モデルに変貌したというのが史実に最も近いのだと思います。




022年3月26日…26年の時を経て、atmosとadidas直営店限定で初復刻されるADIMATIC。
主張の強い太めのスリーストライプは、わかりやすく例えるとnew balane 327のNみたいなもの?
今回復刻されるADIMATICが、意外に多いadidasを履いたことがないという人達のadidas入門への第一歩となり広がりを見せるなら、ナイキ一辺倒でマンネリ化しはじめている日本のスニーカーシーンは、これからも未だ未だ面白くなるのではないかと思います。
オールド(OG)ファンは懐かしさから。
将来の日本のスニーカーシーンを担うであろう若い世代の方々は、このADIMATICを履くことでNIKEとはまた違ったadidasのカッコよさを体得するきっかけになることを願って…。
ADIMATIC 2022年3月26日 COLOR:GREEN、BLACK 価格 各 12,500円(税込)。
