atmos SHINSAIBASHI ハイド氏の煩い

僕の友人が失踪して2週間が経とうとしているらしかった。近所の行った事も無い喫茶店に呼び出され、今僕の目の前でその友人の彼女を名乗る女性の話を要約するとそんな感じだ。だんだんヒートアップしていく彼女の話を、薄いアイスコーヒーと共に冷静に聞いていたが、どうやらそれが興味がなさそうに見えたようで、今にもヒステリーを起こされそうな勢いに委縮しながら話を慎重に進めて得た情報だった。

「何か気になる事とか、変なこと言ってませんでしたか?」
そう言われても彼と最後に話したのは、たまたま電車で鉢合わせた時だ。あれは半年前くらいだろうか、軽く今の身の上をお互いに話し合っただけ。そういえば、そろそろ結婚しようかと思っているとも言っていたような気がする。
正直、友人といわれると怪しい所がある。僕と彼は学生の時に知り合い、たまに会話をするくらいで、食事やそういった交友は数えるほどしかなかった。
しかし彼女は、僕の所まで話を聞きに来ている。差し当たり、知人と呼ばれる人物には手当たり次第に話を聞いているのだろう。

「糸口になるとは思いませんが―」
僕はその半年前の出来事を彼女に話してみる。なんとなく結婚の話は伏せておいた。
「そうですか、―なにか変わった所とかは」
「特にありませんでした、その日が確か一年ぶりに会ったのですが、学生の頃となんも変わりなく、気さくで物腰柔らかな青年でした」
「気さくで、物腰柔らか―」
彼女はゆっくりと口の中で、今僕が言った事を繰り返した。なにか相違があったのかと思い冷や冷やしたが、彼に対する印象を聞いたら大体の人はそう答えるだろう。決まりきった答えを求める街頭インタビューみたいなものだ。
「わかりました、ありがとうございました」
彼女は急に立ち上がり、そそくさとお辞儀をして伝票を持って店を後にした。

1人残された喫茶店で飲み切ったアイスコーヒーの氷が解けるのを眺めていた、彼女に話さなかった彼との思い出が一つだけある。
『ジーキル博士とハイド氏』の彼なりの考察を聞かせてもらった思い出。

NIKE AIR MAX 95
https://www.atmos-tokyo.com/items/ck6884-100
https://www.atmos-tokyo.com/items/ck6884-001

「光の多いところでは、影も強くなる」 彼の言いたいことも、このシューズが語ることも同じようなものだ。このシューズはそれぞれ独立した1足。陰と陽があり、相反するカラーで互いに成り立っている。また陰が大きく出るものもあれば、陽が強く出るものもある。
そして器となった、AIRMAX95は人体構造を手掛かりに形成されている、何ら僕らと変わりはないこのシューズ。もちろん彼も。

「ジーキル博士とハイド氏ってあるだろ、読んだことあるか?」あるよ、いつ読んだかは忘れたけど。
「あれって、どうゆう関係だったと思う?」2人は互いに必要としない壊滅的な関係かな。
「そうだな、でも元々は1人だった、ジーキル博士という善良な人。彼は自分の中の『翳り』が許せず分離させた、これがどういうことか分かるかい?」どうゆうこと?
「自分の影を切り離したってことだよ。言わば陰の部分をね」でもあれは二重人格の話だろう?
「そうだけど、少なからずジーキル博士の欲求さ、偽りなく彼の一部なんだよ」

「善良なことするたびにそれは強くなっていくんだ、道徳意識の解放を品性下劣で欲望に真っすぐな行為がしたかった」そのために、ハイド氏として切り離したってこと?
「そうだろうな、世間体や地位を守りたかったんだろう。ならば、それこそしっかりと自分の中のハイド氏と向き合って欲しいけど―」
ハイド氏はどう考えてたと思う?

「ハイド氏は、戻りたがっただろう。不道徳な自分を抑えてほしかったからね。バランスを取り戻すために悩み考えたと思うよ―」
ここで彼はしばらく、言葉を詰まらせていた。雨が降っていたおかげで、時間が止まっていると勘違いせずにすんだ事を覚えている。今思えば、彼の顔もうまく思い出せないが、彼は最後にこう言った。
「ハイド氏は気づいてほしかったんだ、俺を見てくれって」

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